天然瓢箪の伊吹瓢など作ってます

防水伊吹瓢

防水伊吹瓢

防水伊吹瓢

天然の瓢箪を使って、実際に水筒として使える伊吹瓢を制作しました。
高さ20cm・内部容量0.6~1リットル前後の瓢箪です

 

頒布価格:完売しました。


防水瓢箪の詳細については以下を御覧ください。

防水伊吹瓢制作の経緯と過程(2013年度)

ひょうたん

 

瓢箪に防水?

中身を取り除いた瓢箪に液体を入れると瞬時に表皮がひんやりします。
これは瓢箪自身の持つ温度の内外差を調節する機能が働くからです。
しばらく液体を入れて放置していると、徐々に表面に液体が染み出してきます。



ワインを染み込ませた瓢箪

 

写真は瓢箪に赤ワインを入れて、液体の染み出し具合を確認したものです。
ワインに染まってない部分から繊維の状態がわかります。(この写真でわかります?)
このように瓢箪は表皮を通じて水分をやり取りするわけですが、もし瓢箪の表面を塗装して表皮が水分を通さなくなったらどうなるのでしょうか。

あらゆる場合を試していないのでわかりませんが、あまりいい結果にはならなさそうです。
最悪の場合、なかから瓢箪の皮が腐ったり…

ですので瓢箪の外面を塗装しつつ、水筒として安心して使えるようにするためには内部を防水加工する必要があります。



ワインを染み込ませた瓢箪

 

内部の防水は、食品衛生法適合F☆☆☆☆で食器に使え、なおかつ防水性能に優れる2液型の塗料ストロンTXL2800クリアーを使用します。
瓢箪へストロン塗料をタップリと入れて瓢箪を念入りに揺すり、内壁へストロンの皮膜を作ります。
そうして瓢箪から次の瓢箪へストロンを移して、また瓢箪を揺すり皮膜を作ります。
1週間ほど乾燥させて、また同じ作業を何度も繰り返します。
1個の瓢箪に3ヶ月くらいかけて防水処理を施します。
ちなみに、ストロンは2液を混合してしまうと長期保存できないので、大量のストロンをつかうことになる、つまりかなりの出費になります…(/_;)
最初は万全を期して柿渋とストロンの二重防水にしようかと思ったのですが、塗料屋さんに聞いたところ柿渋とストロンの併用は不可とのことで断念。ストロンだけで防水します。
内部の防水が終わったら防水ができてるかどうか、瓢箪になみなみと水を入れて1週間ほど放置する防水チェックを行います。。これで表面に液体が滲みでて来なければ防水ができてると判断、防水完了です。
でも、念入りに防水加工をやったつもりが結構できてなかったり、、、、そういう瓢箪は再度防水加工を施し、チェックを通るまで防水加工を行います。
写真は1月前半。暖かそうに見えて粉雪の舞う中震えながら作業をしております。
ストロンだけでは粘度が高すぎるのでシンナーで薄めてますが、瓢箪内部からシンナーの匂いが抜けるのに時間がかかります。瓢箪の構造上、どうしても外部との空気の循環が起こらず中にシンナーがこもるようです。
これは水も同じで、内部に液体を入れると乾燥には随分と時間がかかります。



瓢箪筆塗り

 

内部の防水処理が終わったら外側の塗装に移ります。
外側も飲料を入れる器なので食品衛生法適合のストロンTXL2800エナメルを特注で伊吹瓢のイメージカラーを調色してもらいます。
ちなみに結構なお値段がします。

さて、試しに筆塗りして水研ぎを行います。
しかし、筆塗りだと頑張って水研ぎをしても結構塗料が厚くなってしまいます。
今までの置物瓢箪は缶スプレー塗料を使っていたので地肌がキレイに出るほど薄い塗装だったので、どうすべきかあわじ工房内部で討論。



コンプレッサ

 

ジャーン!
品質追求のためコンプレッサを買っちゃいました。

これでスプレーガンを使って薄い皮膜の塗装に挑戦します。
いやぁ~品質向上にはお金がかかりますね(^_^;)



伊吹瓢塗装中

 

早速スプレーガンを使って瓢箪を塗装します。
以前マスクなしで1日中塗装をしてて頭痛などが起こったので、今回はちゃんとした装備で塗装に挑みます。
ちゃんと周りはビニールで囲って近隣に迷惑がかからないように配慮します。
コンプレッサの稼働音は…すみません。

この日は随分と太陽が照りつけて暑く、一日中外で作業していたため首筋が日焼けでヒリヒリします。



伊吹瓢乾燥中

 

塗装完了。
実際には一度乾燥させて、もう一度塗ります。
なかなかいい色艶が出てます。
ぜひあわじ工房のブースに来て実物を手にとって御覧ください。

ところでコンプレッサは初めて使ったので勝手がわからず、コンプレッサの近くで二人でばんばん塗料を吹き付ける作業をしたので、コンプレッサ本体は紫に染まり、挙句に大量の塗料をコンプレッサが吸い込んでます。
これ、大丈夫かな…今のところ動いてますがすぐ壊れたらどうしよう。いや、どうしよって泣くしかないんですが。



伊吹瓢を磨く

 

塗装が完成したら表面を軽く磨きます。
今回2種類のスプレーガンを使用しましたが、それぞれのスプレーガンでちょっと塗装の傾向が違います。
噴出口の小さいものは大きいものに比べてややマットに仕上がってます。
粒子の大きさの差が出てるようです。



瓢箪の栓

 

次は瓢箪の栓を作ります。
作業途中の写真を撮り忘れたのでいきなり完成。
まず一番左、丸棒を用意します。
次に一つ右、埋木錐で栓の部分を切り抜きます。
次に紐を通す穴を開け、最後に仕上げて栓の形が出来上がり。

でも、ここからが本番。
瓢箪の口はドリルで穴を開けますが、例えば10mmのドリルを使っても、必ずしも瓢箪の口は10mmにはなりません。
それぞれの瓢箪の口の部分の硬さや繊維の状態によってやたら小さく締まるものもあったりしてひとつひとつ栓を合わせていく必要があります。
この木栓は防水加工を施さないのでややゆるめに調整します。
というのは木栓が水を吸って膨らむと栓が外れなくなるんですね。もし外れなくなった場合はペンチ等を使って無理やり引っこ抜きます。
そういうわけでひとつひとつ慎重に削って瓢箪に合わせます。



伊吹瓢の札

 

写真は伊吹瓢に貼るお札です。
飲み物を入れる時や飲むときに液体がこぼれて札を濡らすと和紙でできた札はダメになってしまうので、防水処理を施します。
といってもストロンをしみこませるだけの簡易防水ですが少し濡れたくらいならばすぐに水分を拭き取れば大丈夫、だと思います。
いくつか試してみてこの和紙でいくことに決定しました。






伊吹瓢の札

 

札を貼っていきます。
塗料が特殊なので塗料屋さんに問い合わせたところ、樹脂系エマルジョン形云々の接着剤がいいだろうということで探して試してみます。
実際に実験してみて良好な結果が得られたので紙用の樹脂系エマルジョン形接着剤を使って札を貼っていきます。
紐はあらかじめくくって、全体のバランスを考えながら札を張り付けていきます。
瓢箪はひとつひとつ形が違いますので、何度も貼る場所を検討しながら一枚一枚貼り付けていきます。




伊吹瓢の札

 

完成!
栓の上に張っているのは価格識別のためのシールです。
今回は形、大きさ、使いやすさに応じて3種類の価格を設定しました。

いくつか商品についての注意点を述べます。
短期間の防水性能は確認してますが、長期間の防水性能は確認してませんので、飲料の保存用として用いないでください。
水筒として使う場合、最初は水で内部をよく洗ってお使いください。
中に液体を入れるときは漏斗を使ってください。
食費衛生法適合塗料を用いて内部を防水していますが、永続的な防水性能は保証出来ません。
水筒として使用中、飲料に異変があれば直ちに使用を中止してください。
使用後は内部を水道水で念入りに洗って、十分に乾燥させてください。
ひょうたんは自身で膨張と収縮を繰り返しており、自然と壊れることがあります。あくまでもあわじ工房の経験則ですが、ひょうたんに満タンの液体を入れるとひょうたんに強い負荷がかかってある日気づいたら割れてることが多いようです。ひょうたんのくびれ、真ん中より下くらいならそれほど負荷がかからず、ひょうたんが壊れにくくなる、かも?



伊吹瓢の札

 

写真で紫色を綺麗に出すのは難しいです。
カメラの特性で微妙にずれた色になってしまうのが悩みの種。

ひとつひとつ丁寧に作りましたので、ぜひ一度あわじ工房のブースに来ていただいて手にとって商品を見てください。




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